生産を維持するためには

生産能力が落ち込んでいる場合は、生産することを焦りすぎている可能性があります。

生産ばかりしていると、生産能力が落ち続け、逆に、生産能力を伸ばすことばかりしていると、生産をする時間がなくなってしまいます。つまり、生産を維持するためには、生産と生産能力のバランス(英:Production/Production Capacity Balance; P/PC Balance)が重要になります1生産と生産能力のバランスは、ビジネスの分野だけでなく、人間関係、お金、健康など、何にでも当てはまる原理です。

以下では、プログラマーの周りで起こりやすい、生産と生産能力のバランスの崩壊の例を紹介します。

生産ばかりしていて、生産能力が落ち続ける例:

  • 長時間働き続ければ、短期間で大きな成果は見込めますが、その後、健康状態の悪化や、集中力の低下により、生産能力は落ち込んでしまいます。
  • 圧力で社員を動かせば、一時的に仕事を早く片付けられるかもしれませんが、優秀な人材は他へ流れ、残った人材も企業への愛着はなくなり、何も生み出せない企業になってしまいます。
  • 顧客に嘘をつくことで、一時的に利益を伸ばすことはできますが、すぐに信用は落ち、顧客は離れ、利益はなくなってしまいます。
  • 一人のヒーローに頼ることで、短期的には沢山の仕事を片付けることができるかもしれませんが、ヒーローに頼らないと回らない仕事が増え、仕事の回りが遅くなってしまいます。(関連記事
  • 新しい機能を実装したり、バグを直してばかりで、コードをきれいに保つこと(技術的負債の返済)をしなければ、コードを改変するのが難しくなり、少しの変更でも多くの時間がかかるようになってしまいます。
  • 製品をデプロイする際、効率重視で何でもデプロイしていると、デプロイした環境にどのような変化が起きているか把握するのが難しくなり、問題が生じやすくなったり、問題が生じたときに、原因の解明に時間がかかるようになってしまいます。
  • 問題が生じたとき、問題の原因を解明せずに、手当たり次第で直していると、いつまでも根本的原因を解決することができないため、同じ問題が何度も起こり続けてしまいます。

生産能力を伸ばしてばかりで、生産をできていない例:

  • 勉強するばかりで、実践しなければ、生産できないままになってしまいます。

生産と生産能力の程よいバランスは、状況によって変わるため、バランスを維持するには、人間の判断が必要になります。しかし、状況によっては、生産を数値化することで、判断をしやすくすることができます。

例えば、新しい機能を実装したり、バグを直したりするとき、その難しさと、それにかかった時間を数値化しておくことで、残業の増減や、技術的負債の返済などがあった際、それがどのように生産に影響を与えるかを知ることができます。

また、本番環境で問題が生じる率と、問題の解決までにかかる時間を数値化しておくことで、新しい過程やツールの適応、またはバグの修正などがあった際、それがどのように生産に影響を与えるかを知ることができます。

このように、充分な生産を維持するには、生産と生産能力のバランスが重要になります。生産ばかりしていたり、生産能力を伸ばすことばかりしていると、充分な生産を維持することができなくなってしまいます。生産を数値化できる場合は、それを利用して、生産と生産能力のバランスを判断しやすくすることができます。

<参考文献>

  1. Stephen R. Covey (2015)『The 7 Habits of Highly Effective People: Interactive Edition』Mango Media Inc.(英語の本です。日本語では、『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』として出ているようです。)

Shogo Wada

楽しさと実用性の両立が好き。プログラマー。